ノート「序か跋か」より、みっつ。/秋津一二三
ろ。相手から告白されたらどうすんのよ」
彼の顔を、表情を、しっかりと確かめて、あたしは、ふふ、と笑った。
「ないと思うよ。告白されることも、されて受けることも」
咲かない蕾だからと、手折られた枝先を覚えている。実らない果樹のように、咲かない蕾にも価値はないのだろう。その先にあるべきものを望まれるのは、苦痛だ。あるだろう、あらなければならない。あるべき未来に、あたしは存在できそにもないから。
「納得行かないって顔してるね」
すっごく難しい顔しても、何も変わらないよ。とあたしは彼に笑いかける。
「わかんねぇ。でも、もし、俺がその、相手の立場だったら言って欲しい。俺
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