サークル/鈴木
 
の逆立った柳眉を、少し膨らんだ小鼻を、何より熱情に彩られて繁茂する睫毛と、陰鬱を薄く潜ませた隈に縁取られた、悪夢のごとき吸引力の顕現する虹彩を。ただちに炸裂せんばかりに血走ったまなこは、その実、エーテルの流動する行方を追跡するかのようにたゆたっていました。けれどもこれらの嘘くさいペーソスから、僕はかえって幻滅とは別の感情を紡ぎだし興奮しました。それが何かは後にお話しすることにいたしましょう。げに恐ろしきは彼女を月の巧笑から太陽の憤怒へ誘ったヤキトリスト・升尾角太郎。と、鳥皮、つくね、軟骨の皿がことり。思わず仰ぎ見ると、彼は変わらず火と戯れる仏頂面のまま。転じてはるか先輩は。瞬間に僕の頚骨を慄きが貫
[次のページ]
戻る   Point(0)