バカの天才/あすくれかおす
なくたって、何でも口に入れた。
おかげさまで、あの頃の色んな味は、あの頃の色んな気持ちと、ない交ぜになっている。
何でか今のぼくは、それを良かったと思っている。
ぼくらの遊び場所は無限だった。
でも、かぎりある工事現場でも充分だった。
広さなんてどうでも良かった。
フェンスを越えれば、全てがホームランだった。
あの頃。けんかをしては、バカで天才な言葉を、何度も何度もやり取りしていた。
たぶん、魔女の世界では当たり前なくらいの、使い古された呪文のように。
「地獄は雲のうえかもよ 天国は路地裏の箱かもよ」
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