向こう側の貴方へ/maynard
んだものは何も手に出来なくて、あれほど嫌がっていたはずのあの淵にそっと腰を下ろして淵の底を覗き込むかも知れません。
そして零れ落ちるように落下していく自分を想像して、不敵な笑みを漏らすのかも知れません。
きっと生きた証を望むのも糧を欲しがるのも、弱さ故なのです。
もちろんこの掃き溜めでいつまでものた打ち回っている事が、私の真意だと思い込んでいました。
ですがこんな人間でもまだ望めるものはあるようでして、少しばかり豊かに生きていこうと今は思っております。
それを残念に思う方もいるかも知れませんが、形の無い強敵に挑み続けるのには仲間があまりにも少なかったのであり、残念ながら独りでは何も成
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