聖性、冬、機械/ケンディ
 
知識も認識も超え、そして想像さえも超えたところまで進んでいるのではないか。あまりの恐ろしさに私は河を見ることもできない。ましてや触れることなど。考えただけで悪寒と吐き気に涙と唾液が湧き出てくる。私がいままで自然だと思っていたもの全てを覆してあらぬ方向へ、まったく私の認識できない方向へ、この河は流れている。硬くて冷酷なコンクリートの堤防がこの河を取り囲んでいる。近づいたら河に引きずりこんでやると残忍な欲望をひそかに赤暗く血走らせている上水道管が、河のこちら岸から向こう岸へと架かっている。凍てつく夜空におびただしい数の工場。夜にもかかわらず、わけの分からない機械が規則正しく動いている。繰り返し不気味な
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