七人の話 その4/hon
ロイドって機械?」
「機械といえば機械だけど。この図書室の本や資料は、地球における二十一世紀半ばまでのものしかないんだよね。この屋敷を含む俺たちの世界のことについて、何らの手がかりも得られない。今が何世紀なのか分からない。この場所が地球上かどうかすらもわからない。ノイズに覆われたこの世界と、二十一世紀の地球との間には、埋めることの出来ないミッシング・リンクが黒々と口を開けたまま横たわっている。俺たちが知ることができるのは、ただ二つの世界だけだ。一つは、ノイズと静寂に包まれた、五感のみで感受しうるこの屋敷の世界。そしてもう一つは、決して自分たちがそこに属することのない、書物を通じてのみ垣間見ること
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