七人の話 その4/hon
 

「私、刃物って苦手」
 小遥が充に話しかけた。
「そうかい」
 と、充は彫りつづけながら答える。
「尖ったもの全般がダメで、私、台所で包丁とかをちっとも使えなくって、それでニノ姉さんが笑うの」
「それは先端恐怖症とかいうんだろう」
「そうなのかな。尖ったものが近づいてくると、なんだか体がすくんでしまう」
「まあ、それは本能的な反射を体がしてるんじゃないか。刃物の扱いといっても、要は慣れなんだから」
 充は木を彫る手を休めた。
「というか、アンドロイドの話だよ。俺はここのところアンドロイドのことを考えているな。別に考えたってしょうがないことだけど、まあ趣味だね」
「アンドロイ
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