めがね/柚木
じゃないだろうか。
そうだ。きっと、そうだ。そうに違いないのだ。
あいつが、世界の諸悪の根源であることはもはや疑いようのない事実である。
そう、そして、それを私に知られたから、ヤツは、逃げた、のだ。
なんということだ、なんということだ。なんということだ!
「ねぇ、いい加減起きたら?」
私のめがねを手に持った男が部屋に入ってくる。
そいつは、多分、彼氏、ってやつだ。
「それ、わたしのめがね!!」
あぁ、わたしの彼氏すらもヤツ等の仲間だったのか!
「あぁ、もうちょっとでキミの下敷きになりそうだったから拾っておいたよ。キミ、この間も壊したでしょ。」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)