アデン 二/soft_machine
たいな景色の中でたったひとりの、この男のお父さんとお母さんはどこにいるんだろう。そっちはもう四角のいき止まりで、なのにはだしで泣いたふりして笑っていられるなんて。この男はほんとは笑ってもなくて泣いてもなくて、じゃあ怒ってるのか喜んでるのかもわからない、僕はだんだんヘンな気持ちになった。それからすこしかなしくなった。ニャーと声にだしてふり返ると、いつの間にか白い半袖のシャツにまっ赤なネクタイをしめた棒の男が笑いながら僕を見ていた。その笑顔で僕とたいして変わらないくらいの歳だってことがわかって安心すると、ちょっと嬉しくなった。
出かけてくるよ。そう言って棒男はぼくがここにきた時とおなじくらい、ドア
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