消えるもの 残るもの/深水遊脚
 
資に近い。一方、ある「株式」がその会社のCSRの一環としての環境問題への取り組み(本業とは異なるもの)に対してよいイメージをもったから買われたとしたら、それは「詩集」に近い買われ方かもしれない。あまりに無垢で無防備な関わり方ではあるけれど、一応そこに株式と買った人との関わりが生まれる。それは投資判断の合理性とは相容れないという点でわずかに詩的かもしれない。強引なたとえでわかりにくいかもしれない。要するに買うものが具体的に何であるかより、そのものと人とのかかわりの質がどうであるかが大事になる。貨幣も突き詰めればその奥に人がいる。すべての取引は、中間過程を取り除き物々交換にまで単純化すれば、必ず人と人
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