食の素描#2/
 
と琥珀の重奏を、口中に運びこむ。


「マヨネーズにも、塩こしょうにも、ソースにも叶えられない魅力。
 芳醇さも、凛冽さも、野蛮な芳香も敵わない魅力。
 そう。それは甘味でs」

「メープルシロップじゃねえかふざけんなッ」
「っちょ、何これ最悪最ッ低ッ」
「あーまーいーきもちわるー」
「二度と来るかこのガムシロ春雨がッ」


そうして、私達は夜の街で別れた。
別れることだけは、予定通りだった。




今、目の前には一皿の目玉焼きがある。
半熟の黄身にフォークをそっと刺し、
ゆるゆると溢れた黄身のソースを、
白身の表面にまぶす。

塩をふり、こしょ
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