食の素描#2/
 
皿が現われる。
上には、ぷりぷりと瑞々しく弾けるように焼き上げられた白身。
その中央に、太陽を練り固めたかのようなまばゆい橙色の黄身。

そうして、その上にマスターが静かに手をかざす。
傾けられたピッチャーから、琥珀色の糸が垂れ落ちた。

「マ、スター、これ」
「どうぞ。一口。召し上がってみてください」

その声に導かれるように、四人のフォークがゆっくりと皿の上に伸びる。
完璧な目玉焼きに注がれた、琥珀色にきらめく細い糸。
それはカウンターの灯りに照らされ、まるで宝石を織り上げたような光輝を放っている。

浮かされたように、
フォークの中身を口に運ぶ。
白と黄色と琥
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