Religionについて/ケンディ
暴君に祭り上げられた神、Reの地位を引きずり下ろそうとする試みの積み重ねとして西欧宗教史を見ることもできるだろう。神と一気に合一しようとする信徒は迫害された。したがって、神と自己との差異は、教義上のみならず、現実においても厚くて固い凶暴な壁だった。その差異を架橋してくれる役を果たす者たちが聖職者だった。これを無視して勝手に神と合一しようとする者が命を落とした。「踏みつけられた虫は身を縮める。じつに賢明な遣り方である。こうすることで、虫はあらたに踏みつけられる確率を減らしているのである。これを道徳の言葉でいえば謙遜」(ニーチェ、『偶像の黄昏』、白水社、西尾幹二訳、p.20)。中世の民衆は、文字どおり
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