亡骸になっていく/かえで
 
声は高らかに響きを増すが僕はついに膝を抱えてしまった
悩みなんて無駄な固体に過ぎないがそれを僕は背負いすぎてしまったような気さえする
下半身はやけに重たくてもう軽やかに進むことは困難だ
風を感じることのやめたカーテンを抱きしめたところで気持ちは冷めてしまった
涙も出ない僕の脳裏はまっさらな砂地のようにもう何も拾い上げるものがない
ねぇこんな僕を見て驚いて
そして僕にオイルを注ぎ込むように僕を抱きしめてよ
もう君の手を握る気力さえない僕の手を思わず握ってちょっぴり泣いて
うまく動けない僕は涎をたらしたまま
聞こえない声で君を呼ぶのだけれど
目は濁りきって君さえ見えないかもしれない
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