ZUZUさん『鳥人間コンテスト』を読む/楢山孝介
 
やや不完全な印象も受ける。
 でも何かが、どこかが、僕に、僕の何かに、ジャストミートした。どう書いてもうまく表現出来ないことはわかっている。それでも伝えたい何かがある。


 ああよくわからないけれど
 たしかにそれはH君だったのかもしれない
 名古屋からだったのかもしれないし
 どこか知らない土地の工場からだったのかもしれない
 ポケットに「わが闘争」
 だれもつかまえられないライ麦畑まで
 だれにもつかまらない飛行機で
 いまきみはいっしょうけんめい
 ペダルをこいでいるのだ

「鳥人間コンテスト」は生放送ではない。H君は本当にペダルをこぎながら電話をかけ
[次のページ]
戻る   Point(8)