ZUZUさん『鳥人間コンテスト』を読む/楢山孝介
やや不完全な印象も受ける。
でも何かが、どこかが、僕に、僕の何かに、ジャストミートした。どう書いてもうまく表現出来ないことはわかっている。それでも伝えたい何かがある。
ああよくわからないけれど
たしかにそれはH君だったのかもしれない
名古屋からだったのかもしれないし
どこか知らない土地の工場からだったのかもしれない
ポケットに「わが闘争」
だれもつかまえられないライ麦畑まで
だれにもつかまらない飛行機で
いまきみはいっしょうけんめい
ペダルをこいでいるのだ
「鳥人間コンテスト」は生放送ではない。H君は本当にペダルをこぎながら電話をかけ
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