忌々しきは恋の凶事/錯春
の姿を最近見ない
もしや流行りのショウシツとやらに飲み込まれたのではなかろうか
いてもたってもいられずに
僕は暮れる道へと乗り出した
すべては恋がいけないのである
すべての女子、男子が年頃になると奇天烈な事象を呼び起こすのも、要因は一概にして恋に他ならない
恋をする若者が可笑しいのではなく
若者が呼び寄せる恋が可笑しいのである
僕の乏しい経験からすると
恋に焦がれる女子は得てして虫になりたがる傾向があるようだ
私は貝になりたい、と昔はよく言われたものだが、
昨今ではそれは最早廃れたらしい
馴染みのジャズ喫茶、色褪せた校舎、河縁にもおらず
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)