忌々しきは恋の凶事/錯春
と、問うたらば
きょとん、とした後コロカラ笑い
貧血が酷くて血が止まりませんの
と唇をヒソヒソさせて答えた
それはいけない。こんなところで油をうっちゃってる場合ではない。然るべき処置をするべく医院へ行かなくては。そうだそうだ。餅は餅屋、病人は病院。
僕は狼狽え捲くし立てたが、彼女は吼える子犬でも見るような優しい目つきで
女子には七日血が止まらなくても大事ではない傷口が生まれながらございますのよ
あのときの、淡く紅に染まった目蓋を見たのがいけなかった
目蓋を閉じると魘されてかなわない
最近の女人の深淵はまこと怖ろしいものである
しかし
彼女の姿
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)