しろ/月見里司
ぼくが終着駅の三つ先で降りた日にはもうそこら中が真っ白で
世界の終わりなんですと言われたらそのままそうですかと納得してしまいそうな光景だった。
錆びた二色刷りの看板を眺めたが大切な部分を示すはずの赤文字は
とっくに消え去ってしまっていて何を言いたかったのか全く解らなかった。
(きっと本当にひとりぼっち)
そのまま真っ直ぐ、時に曲がりつつ歩いた。
周りを見ても白いかまたは白としか名づけられない色でぼくの経験不足を思い知り、
そこに満ちている光までどこまでもいつまでも白いような気がしてならなかったのだが
絵の具の白程度じゃ全てを塗りつぶしてしまうには到底足りっこないのが残念でな
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