しろ/月見里司
でならなかった。
『影がひとつずつ
ぽつりぽつりとぬけおちて
すっかり白い部屋に
声が
ただ広がって消えてゆきます』
世界の色が白いか黒いかそれ自体は非常にどうでもいいことで、
重要なのは黒が抜け落ちてしまったという寂寥だけなのだ。
町だった光景はすっかり消え果ててあとにはただ真っ白な始まりか終わりしか残っていないようだったが
その中からなじみぶかい終わりだけをいくつか拾ってそのままぼくは歩いていったのだった。
(発信音はまだ鳴っている)
//2005年4月20日、「文学極道」投稿 同年7月24日改稿
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