中野島/大村 浩一
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の
最後の楽園へ
マンションに包囲されながら
奇跡のように生き残った
ちいさな田園のそばへ
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の
最後の楽園へ
住宅地に食い千切られながら
奇跡のように生き残った
ちいさな丘のうえへ
(いい風が吹いてきた)
(盛りの女の髪のように稲がなびいた)
(絵皿には2匹の魚)
(ハゼみたいに干上がりそうな沼を
おびえながら跳ねて逃れて来た)
ここは君の望んだ土地ではなかった
言葉まで学んで備えた極北行きの代わりに
友達を沢山残してこの都会へ来た
バイクは壊れて動
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