シオリちゃん/藤丘 香子
を選んでいるわたしに
はじめまして、と声をかけた
きょうは おかあさんがいないので
いっしょに寝よう、と言う
星が泣いているから可哀想だと言って
シオリちゃんは目をこする
そうね、と見つめていると
シオリちゃんの二つの宙にすいこまれそうになる
子守唄をお願い、と言うのでわたしは歌う
その唄を知っているけれど
いま はじめてきいた、と
シオリちゃんは言う
わたしは子守唄を歌う
お布団の上から軽くトントンとしながら
おかあさんの代わりに歌い続ける
シオリちゃんの瞳はしだいに空と海を映しはじめる
一羽の白い鳥が水平線
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