シオリちゃん/
藤丘 香子
平線の向こうから
ほろほろ、ほろほろと鳴きながら近づいてくる
あまりにかなしく鳴いているので
わたしも ぽろぽろ、ぽろぽろと泣いてしまう
シオリちゃんは わたしの濡れた瞳をまっすぐに見つめ
お日さまのように微笑んで子守唄を歌ってくれる
はじめてきいた唄をさらさらと歌う
シオリちゃんは青いリューズを巻く
満天の星空が瞬きだす
それから ふっと、夜空を指して
いま 空が笑った、と
シオリちゃんは笑う
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