春の裁判/ワタナベ
 
くさんの綿毛が。
風は心地いいですよね。夕方、だいたい6時前頃に吹きはじめる風は、
なにげなく窓をあけるとほほをくすぐったりして、むっと暑い西日の差し込む部屋の、
窓を開けたとたんにすがすがしい風が通り抜けて、書きかけの日記をぱたぱたとめくって、
日記はいつも白紙のページを開くんです。そう、白紙のページです。

次に被告側の証人喚問を行いたいと思います、彼は原告人と同じ会社に勤めるBさんです。

Bさん、証人席へどうぞ。


「Bさんの話」

彼女はいつも快活な人でした、そう、一時期を除いては。それが春のちょうどこの時期です。
五月病、とでも言うんでしょうか。でも別に鬱
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