せめて音のない世界で/雨露 流
のが僕の仕事
賑わい 雑踏 喧騒 小鳥の歌と子供の声
交通量の多い道路 行きかう人々
煩雑としていて 世界は音に満ちている
誰もが何かを目指してる それは嘘
誰もがただ漠然と生きている それも嘘であって欲しい
僕はベンチに座ってファインダーを拭いた
希望が通りかかる それは手を繋ぐ親と子の姿
希望がさえずる それは小鳥の歌
希望が走っていく それはスーツケースを抱えたサラリーマン
希望がほえる それは野良犬の遠吠え
希望が歩いていく それは杖をついた老人
希望がねむる それは陽だまりの野良猫
希望が棄てられる それは飲みかけのペットボトル
希望がついている それ
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