小詩集【金貨のためのオルゴール】/千波 一也
 
やがては弾いて
  傷になる

  いつか
  どこかで
  なにかをかばう


  途切れ途切れ、が
  なめらかさ

  嘘だとか
  ほんとうだとか
  そういうことではなく

  ささやかな
  すべての箱への
  お返しに

  夢のそとから

  古い
  軌道で




五、予感


  涙から
  とおいところばかり
  数えていたら

  行き止まりさえ
  意味をなさなくなってしまう


  天使のうたは
  たいようだけのもの、ではない

  雷雨はかならずしも
  おそろしい顔をしていない
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