草刈合戦/錯春
 
くのほうで
 むかし私をおぶってくれた耳の悪い
 ついでに目も悪いじいさんの
 肩から上がひょこひょこしている。
 どこに行ったのかと思いきや、
 ずっとここで草を刈ってたんだ。
 じいさんが、ぱかーと口をあけて
 いうあえおあええいああうっ
 と、語りかけてきたので
 私は草刈を始めた。



 しゃがんで草の根本をじゃっくじゃっく刈っていく。
 久しぶりなので
 なかなか、こつを思い出すまで苦労した。
 刈っていくと、途中いろんなものが
 あらわれては消え、あらわれては消え
 さっき、上京して2人目の彼氏の
 年上な寝顔があらわれて
 びっくりして草をか
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