谷川俊太郎氏への手紙 〜名詩を読む?〜 /服部 剛
、ふと立ち止まることがあります。こ
の詩の中に描かれた(僕)もまた、亡くなった子犬と過ごした時間
が記憶から薄れてゆく中で、やがて様々な経験をする最中で立ち止
まり、喜びと哀しみで織り成される人生の謎に対して(いったい何
故だろう どうするべきなのだろう)と、言葉にならぬ想いを問い
かける。その時、もうこの世にはいないあの子犬の姿が・・・(お
前の声 お前の感触 お前の気持までもが 今はっきりと僕の前によ
みがえる)・・・この五連目を読むと、作者の心の中に「あの日の
ネロ」が今も尚生きていると感じます。「立ち止まっていた僕」に
再び夏はやって来る。そして、今は亡き子犬に(僕
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