嘔吐/ねろ
 


生きていた頃の記憶の残骸なんてなんとも思わないのさ 僕ら

膝下では持ち主をなくした記憶が
散らばっていて女の子はスパゲティ
を食べるのをやめて夢中になって
それを拾い集めてる

大人達はその光景を見てはその光景自体を切り出し食い尽くす

誰かのクスクス笑いとくしゃみが飛び交う中で

女の子はまだ僕の記憶の欠片を
拾い集めてドロップスにして飲み込む
作業を繰り返し繰り返している

(女の子の飲み込んだドロップスは
一旦は液化してその体内で僕、を再構成する)

テーブルの上では相変わらず世界一周が繰りひろげられている

並べられた世界中のこんにちはが
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