詩集・人生の最中に/生田 稔
さんとてか、蛮人と戦わんとてか
なおも奥へと進みゆく
道なき道のつきるところ
見上げれば広壮な屋敷あり
案内こえば、女一人出でくる
広き屋敷に座りたれば
真中に湯のいらだちたる湯釜あり
カタゝゝと蓋は音を立てて煮えいたり
女はしずかにひしゃくに湯を汲みて
茶をたて、すすめたり、こは
よき茶ぞとほむれば
女微笑みて、つと口に手をあつ
緑の外は春なれば
つゝじは咲きてみだれいたり
うらゝゝと照れる陽の光
我知らず、うとゝゝしたるはしばし
気づけば、はや女は居らず家もなし
暗き森の中、巨木の根方
我一人寝ねいたりけり。
脳病院の庭
ゴッホの描いたサ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)