詩集・人生の最中に/生田 稔
馬を手にして
すこしうれしそうに
売り場を離れていった父と子
息子は大きくなって中学に入った
この玩具の馬を見ると悲しい。
蛙ヶ川
細い流れの川は蛙ヶ川である
僕が一人麦茶を飲んでいる
真ん中を ひょうきんな蛙が
流るに流れて もう寒い
十一月半ば
僕の真ん中を 蛙ヶ川が流れている
赤い川が 流れているのでもなく
真っ白な水が スヤスヤと眠っている
妻と僕の真ん中を流れていた?午後十時半
今日は日曜、集会の日、
息子は競技会に出た。(11・14・19
94)
秋成の家
真昼も暗い森の中
しおたれて歩む、唯我一人
斧をたばさみて
木を倒さん
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