詩集・人生の最中に/生田 稔
見知らぬ乙女と (3)
馬はやく駆け、男の家に着きけり
家の子郎党みな踊りながらいでいでぬ
みなみな言えり
「ご主人さまよよくかえられし
急におられぬようになられしゆえに
案じておりました、如何なされたや」
男言う「神の御加護であった、われはなんじらを
捨てるところであった」
「どのようなことかしらねどあなた様はいつも神様
信心なさるゆえ・無事にて帰られし
ささ、御支度をなそう、馳走の支度を
御主人さまよ
いよいよ、神を信じたまえよ
正しき者には、いつも良き報いあらむ」
「妻は何処ぞ,われ会いたし」
郎党ら言えり。
「奥様は後ろの部屋で、心配な
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)