詩集・人生の最中に/生田 稔
 
んだ、部屋全体がさわやかで、水炊きの湯が立ちこめてました。

見知らぬ乙女と
 
 長き長城を歩む
 広い原野に 何処までつずく
 我は歩み疲れ かたわらの
 小屋に入りて 眠れる乙女
 みつけり
 いつしか吾にも眠りおとずれて
 目醒むれば 乙女を抱き
 おり
 乙女ささやくには吾汝と交われり
 そを汝は知らず
 そのしさいおしえじ
 さあ出ゆきて 三年と六月
 すればまたこを訪れよ
 乙女吾をしかと抱き送り出しぬ
 長き長城を歩めど疲れ知らず
 中に残れる
 甘きみつをかすかに
 さて、先の乙女は誰ぞ
 何処より
 不審に 再び 賭けこみて
 さ
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