詩集・人生の最中に/生田 稔
た
博子ちゃんに似た
支那服の女
上海の街角
妻に似た
ゆきずりの女
ふと出会った
二十ぐらいか
妻の姿ととりかえに
交差点に立つ女
俺もぎりぎりだ
お前しかないのだ
妻は一人だと
あの女は教えてくれた
白き衣にくるまり
俺はこの詩を書く
花びんの薔薇は桃色
北京に向う列車
明日は毛先生に会う
彼のように大きくなろう
同室の旅の友と
大理を説きて止まず
早朝、しばし睡めり
平野に男一人
点在、じっと考えて
極まりなし
「一金百万円也戴き候」
いたるところに故郷あり
給仕する娘
青き服
顔赤く、恥ずか
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