射精についての覚書、あるいはボードレールについての覚書/んなこたーない
 
というこの職業しか身につけていない男」
 「ダンディは、常に休みなく崇高であろうと望まねばならぬ。彼は鏡の前で生活し眠らなければならぬ」
 この文章から、ぼくらはかれの理想の投影を見出すだろう。病弱と貧困と不運にとりつかれたかれの人生における本能的渇望を読み取るだろう。

 たしかにボードレールは伝記を読むかぎりでは相当に付き合いにくい性格をしていたようだが、表面的事実はどうであれ、かれの生き方にひとつの誠実さを見るというのは、多くの批評家の一致するところのようである。ブルトンは「ボードレールはモラルにおいてシュルレアリストである」と述べている。
 ぼくはウィルフレッド・オウエンを敬愛す
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