バブルから遠く離れて━━とある放浪記━━/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
ていった。私はガキ共にリンチされるのを回避するため寝泊りする公園をその日ごとに変え、今日は小田急線、今日は西武新宿線という風にしていきながら、いつしか死ぬ事を考えてその日その日を生きた。
そんなある日、私はその日寝ていた公園近くの中野の献血センターに行き、検査用の血液を注射器で吸い取られながらこう尋ねた。
「先生、血管に空気を入れて死んだ人たちって戦争中にいましたよね。一体どのくらい入れると死んじゃうもんなんですかねえ」
「そりゃきみぃ、一リットルくらい入れないと死なんよ。人間ってなかなか死なないからねえ」
70才くらいになるだろうその医者は半ば驚いたように私の顔の方を向
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