回廊/アンテ
(あるいは彼女)は物珍しそうに
あちこちを叩いてみたり
匂いをかいだりして
なにもすることがなくなると
同じ扉から出ていく
近くの扉のときは
言葉を交わし
時には意気投合して
しばらく一緒にすごす
けれど最後は同じ
彼(あるいは彼女)は出ていって
扉はもとどおり閉ざされて
小窓にカーテンが引かれる
またひとつ
向こう側の見えない扉が増える
幼なじみのマユコちゃんは
わたしの気持ちなどお見通しで
一緒に泣いたり笑ったりしてくれる
時々は
お料理番組みたいに
先回りすることもあるけれど
そんな時はちゃんと
最初からやりなお
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