回廊/アンテ
なおしてくれる
しばらくすれ違ってばかりで
久しぶりに逢うと
わたしの話を何時間でも聞いてくれて
泣いたり笑ったり
二人して顔がぐちゃぐちゃになって
でもまあ
元気になれてよかったねと
最後にマユコちゃんが言ってくれると
たいしたことじゃないと思えてくる
ごくまれに
回廊全体がぎしぎし軋みだして
そんな時は
目と耳をふさいでやりすごす
それを除けば
普段の回廊はとても静かで
気がつくと
独りでも平気だと思っていることすらある
だれかが扉を開く間隔が
少しずつ長くなって
次はもうないかもしれない
彼らに見捨てられても
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