詩友への手紙 〜新宿にて〜 /服部 剛
 
を、僕は待っている。 

 僕が敬愛する作家の遠藤周作は「棄てないことこそが、本当の愛
だ」というメッセージを遺している。「身近な誰かも、自分自身も
棄てない」ということ・・・僕の心にもその言葉は刻まれている。  

 昨夜は僕が主宰の朗読会だった。昨日の最後の参加者が朗読した
詩の中で「透明な猫」が、寂しいと一言呟いて涙を流していた。そ
れはおそらく君や僕の心の中に・・・いや、この都会に住み、時に
心を病む無数の疲れた人の心の中に「透明な猫」はいるのだろう。
昨日深夜の新宿の繁華街で塒(ねぐら)を探してふらついていた僕は、繁華街
に賑わう夜の群の中で、自らの胸の内
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