皆殺しのための100行/大覚アキラ
 
覚悟なくして殺すという言葉を吐く者
あるいはそんな覚悟など脳の片隅にもないまま実際に殺す者
そんな人間には殺す資格はない
殺していないつもりの我々
殺すなんて口にしたことのない我々
殺される現実なんて想像さえしたことのない我々
そんな子羊のような我々でさえ
殺し殺される輪廻から無縁ではいられない
生きることは己の命を生かすことであり
そのためには他者の命を奪わなくては生きてはいけない
つまり我々の日々の生活
我々の数十年の人生
それらはすべて殺す日常であり
殺す歴史に他ならない
傍観者を気取ってみたところで
実は我々全員が同じリングの上に立っているのだよ母さん
それ
[次のページ]
戻る   Point(9)