自分は見た/んなこたーない
、そして何ら才能を持たないということだ。これは実際、脅威的なことなんだよ。この現状を打破するためには軍隊的教育の徹底が必要不可欠なんだ。最高度の知性は深い憂愁を暗示する。すなわち、ぼくはきみを認めない。そうだ、ぼくは断固としてきみのことを認めない!」
呼び鈴が鳴って目が覚めた。午後三時二十八分。覗き穴から覗くと、向こう側から覗き返された。
ドアを開けると、恰幅のいい中年の紳士が立っていた。
「御用は?」と彼は言った。
「御用は?」
「ああ、もしかしてきみもか」と言って、彼は小さな溜息をついた。
「きみを入れて今日だけでもう五人だよ。ねぇきみ、たしかにわたしは預言者として
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