十年間/MOJO
 
ルに書き込みする日々が続いた。医師からは酒は禁じられていたが、私はそれを無視して飲み続けた。昼夜逆転の生活のなかで、深夜に酒に酔い、書き込みをすることだけがが私の生きがいだった。そんな中、掲示板の仲間のひとりが大手出版社の主宰する文学賞を受けることが起きた。その事件は私を興奮させた。自分たちの遊び場から羽を生やして飛んでいった彼。受賞作の載った文芸誌を買って、ページを開いたときの興奮を、私はいまだに忘れることができない。読んでみると、それは彼が私たちの遊び場にしていた投稿サイトに発表したものとは趣きが違っていた。懐が深く、引き出しの多い彼。私は自分の実力と彼のそれとを比べ絶望した。私といえば、公募
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