十年間/MOJO
サラリーマンから生活保護受給者に成り下がったのである。しかし私はもとの生活に戻りたいとは思わなかった。古株女子社員との既得権争いは欝を悪化させるだけであった。それに、私には「創作」という新しい道が開きかけていた。創作を通じて知り合った仲間たちと数ヶ月に一度ささやかな飲み会を開く。それは私のささくれだった心を慰めた。しかし、それもつかの間の歓びで、飲み会が終わってしまうと、抗欝薬と眠剤の手放せぬ鬱病患者に戻ってしまうのだった。
私の欝は緩慢で頑固だった。積極的に死を願うことはなかったが、例えば遠い親戚がぽっくり病で急死したことなどを聞くと、芯から羨ましいと思うのだった。
そんな中、私は緩やか
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