やがてぼくらは輪郭のない自由になる/ワタナbシンゴ
眼にはいくつの太陽が映っている?初めてからだに触れたとき、きみのおなかは午後の日差しの余熱で満たされていた。突然の出会いが世界を緩やかな光で彩っていくそんな足音をぼくはエムからたくさん教わった。
この朝は誰の朝だ?
演劇的な夜を越えて、水平線がステップを踏んだ。答えなどはじめからなく、そう、いつだって通り過ぎてくのは、風の言葉だけ。
そして声が聴こえる
犀の角のようにただひとり歩め
沈黙のなかの痛みは知らないよ、なんてうそぶくよりも、いまのぼくは少しだけ、無言のなか、かすかな痛みを抱い
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