ゴッホとの対話〜オルセー美術館にて〜 /服部 剛
る情景」を
見出し一枚の絵画に封じ込めたであろうし、詩人もまた、日常の中
に「絵画のある情景」を見出し一篇の詩に封じ込めるのである。そ
してその絵画や詩の中に、作者が自分自身を生ききった、人生の言
葉にならぬ想いをそそぎこむ時「詩情の宿る絵画」は作品という一
つの結晶として生まれる。ゴッホのように天命を与えられた画家の
作品は、時を超えて今も、額縁の中からふと美術館に立ち寄る人に
「音の無い声」を語りかけるのである。私はそのようなゴッホの魂
に、画家・詩人・音楽家を含む芸術家のあるべき姿を感じずにはい
られない。
「荒地詩集」を開いて鮎川信夫のエッセイが語りかける言葉をゴ
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