おはなし 1〜50/Monk
あいだ電柱に貼られている行方不明の子供の似顔絵は、時間がたつほどにだんだん大人びた顔になっていった。
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箱を開けると中にはまた箱が現れ、その繰り返しに途中うんざりもしたが僕はどんどん加速し、今まさに箱を開ける速度は箱が現れる速度を追い抜きその先にあるものに手が届こうとしている。
(22)
僕らが数時間にわたり続けた何の結論も出ない議論を、オウムはすべて記録し終えると以後毎日のように繰り返し、やはり永遠に結論にたどりつかない。
(23)
母親と父親はそれぞれの役割を上手く演じ、観客たちが惜しみない拍手を送っている。
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