おはなし 1〜50/Monk
同じ文面で差出人だけが変えられている。
(17)
その花を育てるには涙による潤いが必要だったのだが、僕がやっと涙を流せたのは枯れ果てたその花の残骸を見下ろしたときだった。
(18)
そのビルの27階の右から13番目の窓の奥で今、僕の出生に関わる重大な会議が行われていたが、僕は地下2階の4番目のトイレでYシャツのボタンの掛け違えを必死に直していた。
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庭の片隅に埋めておいた"疑惑"が毎晩どこかへ出かけてゆくようで、たまらず恋人に電話をかけるのだがいっこうにつながらない。
(20)
もう長いあい
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