ひとそれぞれということ/んなこたーない
っぺらぼうを前にして、ひとが覚醒を保つことは難しい。
ぼくは別段熱心な平等主義者ではないし、そもそも自由と平等は別物なのだから、
十人いればそこに序列をつけることは可能だと思う。常にプラグマティックに物事を考えたいのである。
たとえば正読という。あるいは反対に誤読という。そして十人十色ひとそれぞれだという。
しかしミステリー小説を最後のページから逆に読んでいくことは明らかにバカげている。
谷川俊太郎に百科事典から丸々引用しただけの詩があるが、
これが詩として成立するのは、あくまで詩として提出されたからであって、
ハナから百科事典を詩集として読むのも、やはり同じようにバカげている。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)