蛙と首輪(長調)/R
世界から首輪を外すことが出来る?』
こまどりは問いました。
かえるの吸盤は酷くぬめり、プラスチックの壁は簡単に逃げ出せそうなものでした。
蛙は登りました。けれど蛙は知らなかったのです。
限りなく透明に周りを見渡せるかのような蛙の王国は酷く屈曲していて、
上るほどにその世界は色を変えて行きました。
壁は果てしなく終わりがなく高く、出口の光に近づく程に蛙の落ちる痛みも増すのです。
透明はいつのまにか淀んだ虹色に変わっていました。
蝙蝠が周りを飛び交い唄います。
『どうしてそんなに必死に抗おうとする?
井の中の蛙の王様で居続けたいとは思わないの?
中庸に、中
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