蛙と首輪(長調)/R
 
、中途半端に肯定するだけの生き方はとても楽なのに。
こうして(限られた中だけれど)自由に空だって飛べるよ。』

蛙は言いました。
「首輪に繋がれた王様なんて酷く残酷で滑稽なものじゃないかい?
今まで透明だと思っていた壁は色が変わって世界はぼやけてしまった。
(そう、僕はかごの中で世界の全てを知っている気でいたのだ。なんという傲慢だろう)
今まで見てきたものは全て壁というフィルターが掛かってしまっているものだから、
この閉じられた壁の向こうをね、知ることが出来るのなら。
僕が唯一無二じゃなくなってしまっても、無知の痛みよりは刹那的なものだと思うんだ
(この屈曲した王国は楽園だったけれど、いつまでもこのままじゃいられない)」

ああ、蛙の無知の知は愚かでしょうか?
それとも周りの彼らの諦念は残酷でしょうか?

どちらにせよ、とても残酷な寓話。
唯一無二な自分のケージから、首輪を外す事は出来る?
屈曲して世界は何色にも見えるよ。

ぬるりと夜の帳。
すべて蛙はもっていった。

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