あの子は何処へ/海月
 
一つ二つと数を刻む声は遠く 
僕は林の中で息を潜める 
君は目に付く所を手探りで探す 
ガサガサと風が木々(葉々)を揺らせば 
そちらを見つめる 
君の足音が無情に響く 
砂と靴が擦れる音が耳障り 
夕月の昇る頃になっても諦めない 
闇にぽつりと浮いた君の輪郭(影) 
それは不気味な程に大きく 
恐怖心をより煽った 
勝ち負けなんかよりも怖さがあった 
友達(クラス)の噂だと「この場所には鬼の子が出る」と言う 
境内の鐘の音が誰の力も借りずに鳴った 
重く鈍いだが鋭く身体に響き渡る 
ふいを浸かられたから僕は動いた 
僕の周りだけ木々が大きく揺れ
それ
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